カテゴリー別アーカイブ: 院長ブログ

明日から二年目になります。

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

平成27年7月7日に開院したので、今日で丸一年経ちました。365日と言いたいのですが、今年はうるう年でしたので366日です。

患者さんからの『よくなりました。』、『ありがとうございました。』、『来てよかった。』というお言葉に励まされて、ここまで来ました。その大部分は、スタッフの皆さんのおかげと思っています。

これまでも自分は運がいい方だと思っていましたが、当院の道のりもここまでは周囲の方に支えられてとしか言いようがなく、本当にありがたいことです。

感謝を忘れず、心を新たにして、明日からの一年を始めたいと思います。

 

夏は来ぬ その1

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

徐々に夏がちかづく気配を感じる今日この頃です。さて、前回の続きで『夏は来ぬ』です。

まずはこの題について。(以下は中学高校の古文や英語で習ったことです。)

『来ぬ』が文末に来ているということは言い切りの形(終止形)です。『こぬ』と読む場合は、『来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くやもしほの 身もこがれつつ』という藤原定家が自ら百人一首に入れた歌のように言い切りの形(終止形)ではなく、あとに名詞が続く形(連体形)です。言い切りの形なら『来ず(こず)』になります。ただし、『誰それは、まだ来ぬか』のように疑問や詠嘆の形で用いられることがあるため、否定と誤まることが多いと習いました。

正しい読み方は『きぬ』なのですが、この『ぬ』は完了を表す助動詞で、口語(現代語)にはありません。口語では過去形と完了形が同じ形であるため、『春が来た』の英訳をSpring came. としてしまいがちですが、正しくはSpring has come. です。有名な映画『風と共に去りぬ』の原題はGone With the Wind ですから、この完了の意味を上手に含ませた魅力的な邦題となっています。その他にも『風立ちぬ』や、以前に紹介した『秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる』(この歌の場合、形の上では『きぬ』か『こぬ』か判断できません。)にみられるように、もう風が吹いてきた、すでに秋が来ているという意味ですから、『夏は来ぬ』は夏が来たという意味です。

面倒な文法の話だけで長くなってしまったので、歌詞については次にさせてください。

春宵一刻値千金

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

2016年4月2日土曜日は非常に穏やかな春の日でした。           SENRITOでも桜がきれいに咲いています。

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桜も見ごろを迎え、夜もあたたかったので、子供を連れて花見に出かけました。

桜見物にはうってつけの夜で、ライトアップされた川べりの桜はとてもきれいで、多くの人で賑わっていました。、川には屋形船が往来し、沿道では屋台が軒を連ね、宴会の人たちも非常に楽しそうで、花見の雰囲気を満喫しました。

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清水へ祇園をよぎる櫻月夜(はなづくよ)こよひ逢ふ人みなうつくしき  与謝野晶子

にしき織りなす長堤に 暮るればのぼるおぼろ月
げに一刻も千金の ながめを何にたとうべき         花(滝廉太郎)の3番

春宵一刻値千金 (しゅんしょういっこく あたいせんきん)
花有清香月有陰 (はなにせいこうあり つきにかげあり)
歌管楼台声細細 (かかんろうだい こえさいさい)
鞦韆院落夜沈沈 (しゅうせんいんらく よるちんちん)       蘇軾

このように、多くの歌になっているところをみても、春の夜にはなにか人の心を捕える魅力があるのでしょう。みなさんも春の宵の一時を楽しんではいかがでしょうか。

3月になりました~血管炎の講演会に行きました

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

3月3日木曜はまだまだ寒い一日でしたが、診察終了後に夕方から血管炎症候群の講演を聴いてきました。国立循環器病研究センター関連で循環器の医師が集まる会でしたが、当院も連携させていただいています大阪大学免疫アレルギー内科の先生のお話でしたので参加してきました。

血管炎症候群は膠原病の一種で多くの疾患を含んでいます(個々の疾患についてはこちらを参考にしてください。)が、リウマチを見ている性質上、常に気にはしていますがなかなか診断が難しいことも多いのが実情です。

話は血管炎の分類から免疫の基礎、生物学的製剤の総論のあとにいくつか症例を提示されました。非常にインパクトのある症例ばかりでしたが、とくに10代の女性がSLEを発症し、数週で下肢切断に至った症例には、非常に驚きました。足の痛みで整形外科を受診される患者さんは非常に多く、このような劇症型血管炎の患者さんの存在を知らないと、命を落とす可能性さえあるわけですから、勉強というものは大事だと改めて思いました。また、高安病(大動脈炎症候群ともいいますが、日本で発見された病気です。)では、頚部痛で発症し、数年も診断がつかないこともよくあるそうです。(ドクターGでも放送されていました。)こちらも整形外科に受診される方が多いそうです。その他にもベーチェット病の症例なども、症状だけなら整形外科に来られそうですから、気を付けようと思わされる非常に内容の濃い講演でした。会場は満員で(私も予備の椅子に座っていました)、時間が超過していたにもかかわらず、質問がいくつもあり、非常に活気のある会でした。

講演終了後の懇親会では、講師の先生が主導されている関節リウマチの新規薬剤の治験の依頼が来ていたこともあり、その件も含めていくつかの質問とお礼を述べてさせて頂きました。開業医には、総合診療的な要素が多いため、今後もできるだけ多くの分野のことを学んでいかなければならないのですが、本当に意味のある会でした。

骨粗鬆症の講演会

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

シルバーウィーク明けは患者さんも多く忙しい日々でしたが、9月26日土曜日に講演を聞いてきました。骨粗鬆症については、2015年にガイドラインが改訂され治療の選択肢も広がっており、ますます専門的な知識が必要となってきています。今回の集まりは済生会吹田病院の主催ですが、吹田市では骨粗鬆症の地域連携がよく機能しているようです。

さて講演の内容は、2015年改訂の骨粗鬆症治療ガイドラインについてと、ビスホスフォネート関連の顎骨壊死の2題でした。

最初の演題は済生会吹田病院の先生によるお話でした。ガイドラインについてはすでに読んでいたのですが、その後に出された論文のデータや今後認可されるであろう薬剤もご紹介頂けました。

2つ目の演題は、松本歯科大学の先生による骨吸収抑制剤と抜歯などの処置に伴う顎骨壊死のお話でした。私も多くの患者さんの骨粗鬆症を治療していますので、時々歯科の先生から休薬を依頼されるのですが、果たしてそれが必要なのかどうかはあまり深く追究していませんでした。

講演の内容は衝撃的で、抜歯などに伴う顎骨壊死と骨吸収抑制剤の服用には因果関係はないと考えられ、休薬期間を置く方がよくないのではないかというものでした。

まず顎骨壊死と言われているが、その本体は骨髄炎であり、感染による可能性が極めて高いとのことでした。次に、抜歯せねばならないような歯の周囲にはすでに感染があり、それを2か月以上も放置すれば、その間に感染は拡大します。その後に抜歯すれば、骨髄炎を生じるのは当然ありうることです。また、骨吸収抑制剤を服用している人はすでに骨粗鬆症を生じており、骨の代謝が悪化しています。つまり、骨吸収抑制剤が悪いのではなく、骨代謝の悪化している患者さんの歯に感染を生じているから、顎骨壊死といわれるような病態が生じると種々のデータを示して解説されました。また、骨粗鬆症薬を休薬すると15%以上の脱落が出るようで、そのデメリットは非常に大きなものです。

実際ドイツなどではほとんど顎骨壊死の発生がなくなっているのに、日本では症例が増加していることをみても、休薬は効果がなく感染を増悪させているだけではないかとおっしゃっていました。そのうえで顎骨壊死が感染症であるのだから、医師と歯科医師が連携して口腔内の衛生状態を改善させることが発生の防止になると力説されていました。

まさに目から鱗といえるお話でした。

その後の懇親会では、顎骨壊死と骨粗鬆症治療の問題点について、さらに詳しくお答えいただけました。また、済生会吹田病院の先生には先進的な取り組むである体外衝撃波についても伺えました。難治性足底腱膜炎の患者さんをご紹介したこともあるので、大変勉強になりました。また、10月には済生会千里病院と済生会吹田病院の整形外科合同勉強会がありますので参加するつもりです。

骨折予防は健康寿命には非常に重要な要素です。今後は医療モール内の歯科診療所とも連携しながら骨粗鬆症の治療を続けていきたいと思います。

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