日別アーカイブ: 2015年12月6日

骨質について

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

12月5日に豊中市医師会主催の骨粗鬆症講演会に参加しました。

最初に豊中保健所から骨粗鬆症検診の話があり、踵の超音波で検診を行っているが、検診受診率は0,6%にとどまっており、今後も啓発をつづけるという事でした。当院も骨粗鬆症の治療、骨折予防は非常に大事と思っていますので、保健所や医師会のアンケートでは、二次検診を含めて積極的に協力すると回答しています。

もうひとつの話は、整形外科の先生による骨の質の話でした。糖尿病と骨粗鬆症の回で書きましたが、糖尿病や動脈硬化では骨折リスクが上がり、骨粗鬆症になりやすいことが知られていますが、実は骨密度が低下していないことも多いのです。これは肥満などで体重が重くなると骨が太くなることなども関係していると考えられていますが、それでも骨折は多くなります。骨密度は骨の量を表しますから、やはり骨の質が悪いのではないかと推測されるわけです。骨質には非常に興味がありましたから、この講演は楽しみにしていました。

骨は鉄筋コンクリートに例えられます。その鉄骨はコラーゲンからできています。いかに鉄骨が多くても材質が悪ければ、壊れやすくなります。確かに日常の診療でも、背骨の骨折(=脊椎圧迫骨折)があるのに、骨密度が低くない患者さんがおられ、骨質が悪いのだろうと漠然と思っていましたが、実はそのような患者さんは骨粗鬆症のうちの2割程度はおられるようです。

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(YOMIURI ON LINEより転載)

コラーゲンには多くの型があり、皮膚や骨はⅠ型、、動脈はⅢ、Ⅴ型を多く含んでいます。生活習慣病では、動脈が傷むわけですからコラーゲンが悪くなっています。これと同様のことが骨でも起きるわけです。実は生活習慣病でもコラーゲンの量は減らず、コラーゲンをつなぐ架橋(=梁)が悪くなり、強度が落ちるそうです。骨質については、まだ検査法などが確定していないようですが、骨質の研究は日本が世界をリードしているとのことです。

慢性炎症が動脈硬化、がん、老化に影響するという説のとおり、体が悪くなるということは、怪我など以外では全身に影響が及ぶ訳ですから、私たち整形外科医も運動器だけでなく、ほかの臓器にも注意を払っていかなければならない、と再認識させられました。喫煙が大きな原因となるCOPDという呼吸器疾患でも骨粗鬆症が合併することはすでに知られていましたが、そのCOPDの治療に骨粗鬆症治療薬であるビスホスホネートが有効という報告もあり、その広がりや進歩からは目が離せません。

今後もできるだけ勉強して、生活習慣病としての骨粗鬆症という観点からも、整形外科以外の先生方と協力して地域の健康に貢献したいと思います。