糖尿病と骨粗鬆症

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

11月28日、糖尿病専門の先生の講演を聞いてきました。おもな対象は内科の先生方だったのですが、糖尿病を治療中の方は当院にも多く、骨粗鬆症との関連も言われています。また、関節リウマチでも骨粗鬆症や動脈硬化がおこることはすでに知られており、生活習慣病や老化も慢性炎症の結果であるという説も出されていますので関心があったのです。

講演では、最初に骨粗鬆症患者の生命予後の悪さと、心血管イベントの発生率の高さ(いわゆる心臓発作です)が示されていました。

骨粗鬆症を専門にしているので、心血管イベントがおこりやすいことまでは知っていましたが、閉経後女性の心血管イベント発症の予測因子が、糖尿病(4.7倍)、高血圧(2.6倍)、脂質異常症(1.9倍)、喫煙(2.7倍)であり、骨粗鬆症では3.5倍と喫煙よりはるかに高いことまでは知りませんでした。

もちろん、これは合併率の結果を表しているものであり、骨粗鬆症を治療するだけで心血管イベントを防げるわけではありませんが、骨粗鬆症の患者さんでそのようなリスクが高いことを認識すること、そしてできるだけカルシウムなどの骨代謝を正常化させ、動脈硬化の進行を遅らせることが健康寿命につながるのは間違いのないところだとおもいます。

あと、ビタミンD不足が多くの生活習慣病に関与していることにも言及され、実は食事でとれるのは5%に過ぎず、一日15分の日光浴を勧めておられました。

整形外科医としては骨粗鬆症治療のゴールが骨折予防であり、骨折を予防することで健康寿命を伸ばすと考えていましたが、内科医の視点から生活習慣病も含めた骨粗鬆症の話は初めて聞いたので、非常に新鮮でした。骨粗鬆症の薬物療法の進歩は著しく、病態も次々に解明されてはいますが、運動療法が生活習慣病と同様に必要であり、転倒予防が大切であることは変わりません。

整形外科では、骨密度検査ができること、理学療法士などのリハビリの専門スタッフが運動療法を担当できることが大きなメリットです。骨粗鬆症をきっかけに生活習慣病がわかることもあるでしょうから、薬物療法と運動療法を効果的にするためにも内科の先生との連携は今後不可欠だと再認識しました。

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