治療は手でするものですか?

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

今日は、北摂地域のリウマチ専門医を集めた小人数のミーティングに参加してきました。リウマチの治療戦略も薬剤の多様化に伴い、日々進化しておりエキスパートの先生に直接診療上の疑問を尋ねられる機会は非常に貴重です。

さて、タイトルのことですが、医師になりたての頃、患者さんへの手術や病状の説明にムンテラという言葉が使われていました。どういう意味かよくわからないまま、先輩が使われているので、ご家族との手術説明の日程調整で当時の整形外科部長(非常に立派な先生でその後院長となられ、現在は大学の学長をされています。)に「ムンテラの日はどうしましょう?」とお尋ねしたところ、「お前は口で治療するのか!」と厳しく叱責されました。どうも患者さんのためになる言葉ではないらしいことを後日知り、そのようなジャルゴンを安易に用いたことを反省しました。以後その言葉は使っていませんし、部長の言葉も今でも覚えています。

ただ、最近になって医師は口でも治療するのではないかと考えが変わってきました。確かに医師は患者さんのお身体を触って診断し、整形外科医なら、時には体をメスで切って治療します。しかし、その前には当然問診がありますし、検査の結果説明、治療の説明など口で行う部分も非常に多いのです。

さらに言えば、手でも口でもない部分さえ、非常に大切ではないでしょうか。同じ「お大事に」という言葉でも、表情や声のトーン、あるいはカルテを書きながら言うか、患者さんのお顔を見て言うかで、全く違った印象を与えるはずです。医師に対する信頼は患者さんの治療に直結しますから、言葉の内容よりもむしろ身体表現や雰囲気といったものの方が大事かもしれません。

遅まきながら、このようなことを考えるようになったのは、ここ10年ほどのことです。前に勤めていた公立病院の上司は厳しい人でしたので、患者さんに対する態度というものを真剣に考えさせられました。

今では自分の持つ医療技術を最大限に生かすためには、患者さんが医師を受け入れやすい言葉や雰囲気を作ることが先決であると思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です