皆さん、お元気でしょうか?
一冊の単行本が書けるんじゃないの?と思うくらい長文ブログを書いています『橋本』です!
このブログを書くのに『 3時間以上 』かけてますので、興味ある方は、ぜひ読んで頂きたいと思います。
近頃、
患者さまから『 なぜ痛むの? 』と言うご質問が多いのですが、
私の決められたリハビリ時間内では、説明することも出来ない為、今日はこの場を借りて『 痛み 』について、少し詳しく噛み砕いてみようと思います。
『 脳筋 = 脳ミソまで筋肉 』
と勘違いされても困るので、これが一体どういう仕組みになっているのか『 私個人の解釈 』で紐解いて行きましょう。
以前にも『 痛みと痺れ 』についてのブログを書いてますので、興味があれば検索して、ご参照下さい。
(2017年4月15日、スタッフブログ参照)
※ このブログは、私個人の考え方であり、全ての施術家、専門家が同じ考え方ではありません。
拙い柔道整復師一個人の考え方だと、ご理解の程、宜しくお願いします。
それでは、
私たちの体に、なぜ『 痛み 』という感覚が備わっているのでしょうか?
『 痛み 』それは、とても不快で本当に辛いものです。
こんなに辛いなら、痛みを感じなくして欲しい!と思うことでしょう。
もし『 痛み 』という感覚がなかったらどんなに楽かと・・・。
実は、その『 痛みの感覚がない 』人が存在します。
『 先天性無痛症 』
生まれながらにして『 痛覚神経 』が無い疾患です。
ですから、『 痛み 』がどんなものかも理解できません。
『 痛み 』という感覚は、言葉を変えると『 警告アラーム 』、危険が迫っている事を知らせる重要な役割があります。
もし、この感覚が切れていたら一体どうなるでしょうか?
骨が折れ、肉が裂け、肉体はボロボロになっても使い続け、それでも平然としているでしょう。
【 痛みの仕組みについて 】
例えば、
『 足の裏が痛い 』と感じた時、『 痛い! 』は脳が認識しています。
しかし、『 足の裏 』が痛いはずなのに、どうやって情報が『 脳 』まで届くのでしょう?
答えは『 神経を使って情報を伝えている 』です。
当たり前の答えですが、これは重要なことですので、後ほど説明します。
では、この『 神経 』は、どのような仕組みで情報を脳まで伝えるのでしょう?
答えは『 電気 』を使っています。
電気のコードや電話線と同じ仕組みです。
足の裏にある神経の先端が痛みを感じ、そこで電気を発生させ軸索(電気コード)という場所を通って脳まで信号を伝えています。
神経は電気コードなので、
そこに電気が流れると『 痛い 』と感じ、
流れない時は『 痛み 』を感じません。
では、この電気コードを切断するとどうなるでしょうか?
当然、電気は流れません。
そして、情報も伝わりません。
つまり、神経は切れても『 痛み 』を感じる事はありません。(幻肢痛はあります)
これも、当たり前の事です。
しかし、とても重要な事です。
ここで、一番お伝えしたい事は、
神経は『 情報を伝えているだけ 』という事です。
【 神経の種類について 】
『 神経 』と言っても様々な種類があり、一つの神経で何でも伝えているわけではなく、それぞれ専門に特化しています。
目の視神経は『 光 』だけに、
耳の聴覚神経は『 音 』だけに反応します。
同じように『 痛み 』は、
『 痛み専門の神経 』だけが反応しています。
視神経に、大きな音を聞かせても反応しないのと同じように『 痛み専門の神経 』は『 痛み 』にしか反応しません。
そして、神経の特性として『 全か無かの法則 』というものがあります。
これはスイッチの『 ON・OFF 』のみのことで、強弱は伝える事ができません。
しかし、私たちは『 痛みの強弱 』を感じています。
これは、『 活動電位の発火頻度 』が関係しています。
つまり、反応する頻度が高い時は強く感じ、少ない時は弱く感じるという仕組みになっています。
【 神経の場所について 】
視神経は目にあります。
聴覚神経は耳にあります。
では、『 痛み専門の神経 』はどこにあるのでしょうか?
体中、全ての場所にあると思われるかもしれませんが、実は、特定の場所にしかありません。
『 痛み専門の神経 』のある場所をご説明する前に、この神経がない場所についてお話します。
【 痛み専門の神経がない場所 】
まず、爪と毛です。
私たちは、特に意識せずに切ってますが、これらは、体の一部です。
しかし、切っても痛みを感じません。
その他に、骨・軟骨・椎間板などにも『 痛み専門の神経 』はありません。
つまり、骨折したとしても、膝や股関節の軟骨がすり減っていたとしても痛みは感じないはずです。
でも、『 骨折すると痛いやん! 』と思われるでしょう。
通常、骨折すると痛みを伴います。
では、あの『 痛み 』はどこから来るのでしょう。
実は、『 骨 』が痛みを感じているのではなく、骨折すると、周りの骨膜、筋肉、腱、靭帯、が傷ついて『 痛み 』を感じています。
では、『 軟骨 』はどうでしょう?
プロ野球のピッチャーは、激しい投球トレーニングにより肩や肘の軟骨がスリ減っていることをご存じでしょうか?
肘も曲がってしまい、伸びきりません。
投球時に近くで聞くと、ゴリゴリとすごい音が鳴っています。
それでも、150キロの豪速球を投げられるということは・・・。
テレビや雑誌で、
『 膝が痛いのは、軟骨がスリ減っているからだと言われています! 』
というセリフが数年前まで使われていました。
しかし、最近は聞かなくなったと思います。
軟骨がスリ減る事と、痛みとは関連がないことの例をご紹介しましたが、
ここで、私がお伝えしたい重要な事は、
骨が・・・
軟骨が・・・
椎間板が・・・
と言われても、『 痛みの原因 』ではないという事です。
【 痛み専門の神経があるところ 】
では、『 痛みを感じる神経は 』どこにあるのでしょうか?
それは、筋肉・腱・靭帯・膜(脳や内臓に関するものも含む)など、身体の中で『 伸び縮みする場所 』にあります。
ですから『 痛み 』は、この筋肉・腱・靭帯・膜で、何かしらの異常がある事を知らせています。
そして、厄介なことに、筋肉・腱・靭帯・膜は、レントゲンやMRIで異常を見つけるのは、とても困難なのです。
【 どのような異常が起こっているのか? 】
では、筋肉・腱・靭帯・膜で何が起こっているのかを、詳しくご説明いたします。
体には『 動脈と静脈 』という2種類の血管があり、動脈の血液を動脈血、静脈は静脈血と言います。
『 動脈血 』は、
体の各細胞に酸素や栄養を届けています。
『 静脈血 』は、
老廃物や二酸化炭素などを運んでいます。
細胞に十分な酸素が届かなくなると『 酸欠状態 』になり、その細胞は死んでしまいます。
これを防ぐ為に、
『 警告アラーム 』として『 痛み 』
という感覚を使い脳に知らせます。
意外に単純だと思われるかもしれませんが、このような仕組みで痛みを感じています。
【 痛みの種類について 】
痛みの種類は、大きく分けて3つです。
① 切創や打撲、捻挫などの外傷(怪我による痛み)
② 筋肉を筋力以上に動かした時の痛み(運動による筋肉痛)
③ 特別、何かした訳でもないのに痛む(慢性的な痛み)
このように分けましたが、基本的に痛くなる原理は同じです。
それでは、一つずつ説明していきましょう。
【① 切創や打撲、捻挫などの外傷(怪我による痛み)】
切創や打撲、捻挫は、血管(毛細血管等)が切れてしまいます。
すると、その周辺の細胞の血液供給が止まり酸欠になり痛みを感じます。
そして、切れた血管が修復されるまで痛みは治りません。
【② 筋肉を筋力以上に動かした時の痛み(運動による筋肉痛)】
人は、筋肉を動かす時、エネルギー源として酸素とグルコース (ブドウ糖)を使います。
日頃、あまり運動しない人が、急に激しく運動を行うと、酸素の供給が追いつかなくなってしまいます。
この時、筋肉に蓄えてるピルビン酸という物質が乳酸に変化します。
そして、この乳酸が酸素の代わりをして、筋肉は動き続けることができます。
通常、乳酸は役目が終わると、静脈から排出されます。
しかし、普段からあまり運動をしていない筋肉では、排出が十分に行えず溜まってしまいます。
そして、酸素の通り道である血管を塞いでしまい、酸欠状態になり痛みを感じます。
これが、『 筋肉痛 』です。
溜まった乳酸は、一週間程度で自然に排出される為、時間とともに痛みは治ります。
【③ 特別、何かした訳でもないのに痛む】
これは、『 慢性痛 』と呼ばれ『なかなか治らない痛み』です。
一般の人は、
上記で説明したような『 酸欠による痛み 』の仕組みをほとんど知りませんし、教わりません。
痛みの仕組みについては『 炎症 』と教育されます。
『 炎症 』とは、
ウイルスなど体外から影響を受けたものと、体の組織が何らかの原因で損傷を受けたものとされています。
しかし、
ほとんどの慢性痛に『 炎症反応 』は起こっていません(炎症細胞も確認されていない)。
実際は、この『 慢性痛 』の場合も、細胞が『 酸欠状態 』になっているだけです。
では、
何ヶ月も、何年も痛みを感じ続ける
『 慢性痛の原因 』はなんでしょう。
感覚神経の先端には特殊なセンサーがあります。
それらを『 受容器 』と呼び、それぞれ専門に特化した固有の形をしています。
受容器は、4種類あり、
・痛みを感じる神経(痛覚ニューロン)
・熱いを感じる神経(温感受性ニューロン)
・冷たいを感じる神経(冷感受性ニューロン)
・触れているを感じる神経(触圧覚ニューロン)
そして、痛みを感じる神経の受容器は、大きく分けると
・『 自由神経終末 』
・『 ポリモーダル侵害受容器 』
の2種類があり、特に『 ポリモーダル侵害受容器 』は慢性痛と深い関わりがあります。
これらは、筋肉・腱・靭帯・膜など、身体の中で伸び縮みする場所に存在します。
この中で、痛みと深い関係があるのは『 筋肉 』です。
特に、筋肉と筋膜の間に痛覚受容器が多く存在します。
つまり、
『 筋肉に何かが起こっている 』
ということです。
では、一体何が起こっているのでしょうか?
それは・・・
『 筋肉が緊張し、硬くなっている。 』
ただ、それだけです。
硬いと言っても、柔軟性のことではなく、触ってみて、軽く押してみて『 硬いかどうか? 』という意味です。
『 筋肉が硬くなる 』だけで、こんなにも痛くなるのか?と思われるかもしれませんが、
・・・ 痛くなります!
筋肉が緊張し硬くなる事で、縮む力が働きます。
この『 縮む力 』によって、筋肉の中を通っている血管を圧迫して細くします。
動脈血の流れが悪くなり、上記で説明したように、筋肉などの細胞が『 酸欠状態 』となり、危険である事を『 痛みの感覚 』を使い脳に知らせています。
酸素が不足すると、
細胞は『 ブラジキニン、ヒスタミン 』
という『 発痛物質 』を放出します。
この発痛物質に『 痛覚ニューロン(ポリモーダル侵害受容器) 』が反応し、痛み、痺れ、冷え、重さ、怠さ、つっぱり、などの症状を出します。
これが、『 慢性痛のメカニズム 』です。
この事は、標準生理学という医学部で学ぶテキストにも記述されています。
*********引用*********
筋の収縮によって痛みが起こる。
ーー中略ーー
筋の血流を止めると痛みが起こる。
筋収縮時の代謝産物として発生する乳酸やカリウムイオン、セロトニン、ブラジキニン、ヒスタミンなどが過剰に蓄積して痛みを起こすとされている。
ーー中略ーー
血流改善が『 こり 』、『 痺れ 』や『 痛み 』の寛解とかかわっている。
*******引用ここまで*******
と、されています。
しかし、医療機関で、このような話しを聞く事はほとんどありませんし、そもそも話す時間がありません。
今回、『 私個人の解釈 』でお話しましたが、痛みについての知識を増やす事で、患者様の痛み治療に役立てて頂ければ幸いです。
長くなりましたが、本日はこんな感じになります。
以前にブログで書いた、
『 私の施術方針・手技について 』もご参照して頂ければ幸いです。(2017年8月6日・スタッフブログ参照)