日別アーカイブ: 2015年9月25日

痛いということ

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

先日、老衰による死を特集した番組が放送されました。食事をとっても体重が減り、最後には食事量が減って、死を迎えるという内容でした。体の細胞が減っていき、吸収も悪くなり、生命を維持することができなくなるようですが、これは極めて自然なことなのでしょう。穏やかな患者さんの表情からは苦痛はないようです。

興味深いことに研究者も死の数日前から苦痛はないようだと言っていました。つまり、痛みとは生命を維持するために障害となるものを知らせるアラームであり、生命の維持自体ができなくなりつつある老衰では痛みがないと考えられているようです。

これは、痛みの治療を行っている私には非常に興味深い話でした。というのも、逆にいえば痛みを感じるということはそれだけ生命活動が旺盛であるということにも通じるからです。たしかに、子供は痛みに敏感です。そのように考えると、痛みの除去は患者さんの願いですが、痛いということはそれだけ活力があるということであり、体からの治りたいという意志のあらわれといえます。それだけの元気があるのだから、かならず良くなるはずという信念で患者さんとともに治療に向かいたいと思います。