日別アーカイブ: 2015年8月20日

少年老い易く、学成り難し

千里中央駅直結 SENRITOよみうり片岡整形外科リウマチ科です。

朝夕は徐々に過ごしやすくなってきました。とくに早朝はさわやかな風さえ吹いています。それとともに、朝方の日の光も勢いが弱まりつつあり、秋を感じさせます。

さて、タイトルのことわざのもとは漢詩で、一寸光陰不可軽(いっすんのこういん、かろんずべからず)と続き、最後の行は階前梧葉已秋声(かいぜんのごよう、すでにしゅうせい)とあり、庭に下りる階段の前の青桐にも葉の落ちる秋の声がすでにしている、となります。夏が終わり、秋が来るというのはなんとなく物悲しいものですが、学が成っていない者にはことさら身に沁みる言葉です。

しかし、学成り難しですが、そもそも学成るということはあるのでしょうか?ある問題が解決しても、次の謎があらわれるものです。一般人からみれば、学問を究めていると思われるノーベル賞受賞者でも自らの学問が完成していると思っている人はいないのではないでしょうか?。また、対人関係などはそもそも答えがあるものではありませんから、試行錯誤の連続です。

私が携わっている整形外科、なかでも関節リウマチや骨粗鬆症の治療の進歩は目を見張るものがありますが、こちらは知識が確立されていますから習うことが比較的易しいといえます。しかし、診断に関しては本当に学成り難しということを、痛感しています。一体、どこが悪いのかさえ、わからないこともあります。とくに、関節の痛みは、更年期障害を含むホルモンの異常、栄養障害やウイルス感染、神経疾患、ときには悪性腫瘍でも起こることがありますから、非常に幅広いのです。

そして、そのために患者さんからお話を聞きとることがいかに大切かをを改めて感じています。以前、NHKで放送されていた総合診療医ドクターGという番組でも、エキスパートの医師が研修医たちに問診の重要性を繰り返し説いておられました。すでに知られている医学的知識を組み合わせて診療するわけであり、患者さんの訴えがある以上、必ず答えはあるはずなのですが、情報の選別が非常に難しいことは番組中に何度も思い知らされました。

ですから、学成り難しを自覚しつつも、それを嘆くだけではなく、新しい情報をもとめ、日々の診療や患者さんから学ばせて頂くことも忘れずに、スタッフとともに勉強を続けていくことが学成るに近づく道なのかなと思います。

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